最高裁判所第二小法廷 昭和28(あ)1214 決定
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人佐伯千仭、同田中章二、同菅生謙三の上告趣意第一点は、違憲をいうけれ
どもその実質は単なる法令違反の主張を出でないものと認むべきである。そして所
論の点に関する原判決の措辞は稍々妥当を欠くきらいはあるけれども、その趣旨は、
所論の如く本件犯行の動機縁由となつた被害者の乱行の事実は、所論期待可能性有
無の判断に当り一切顧慮すべきものでないとした判旨と解すべきではなく、却つて
反対に右事情の一切を顧慮しても、本件の場合いまだ期待可能性がなかつたとは認
められないとの趣旨と解するを正当とすること全判文に徴して明白というべきであ
るから、原判決には所論くいちがいの違法は認められない。同第二点は、原判決は
本件犯行の動機縁由となつた事情は期待可能性の有無の判断に際し顧慮せらるべき
事情ではないとしたものとの前提に立つて、判例違反を主張するものであるから、
その前提の認められないこと上述のとおりである以上、所論判例違反の主張は既に
その前提を欠くものであり、同第三点は違憲をいうけれどもその実質は事実誤認(
なお所論引用の判例は本件に適切でない)と単なる法令違反の主張に帰するもので
あり、同第四点は結局量刑不当の主張であつて、以上いづれも刑訴四〇五条の適法
な上告理由に当らない。なお記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認め
られない。
よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
昭和三三年四月一八日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 谷 勝 重
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裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
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